やぎ座のヒトリゴト

僕の思ったことを書いていきます。雑記ブログです。

「六百六十円の事情」を読んでます。

「六百六十円の事情」

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著者:入間人間。刊行:2010年5月。僕が高校生の頃に読んだ本です。当時、恩田陸さんの「ドミノ」を読んだあたりから僕はいわゆる「群像劇」のような内容の本を好みだし、その一冊として手に取った。ような記憶があります。定かではないですね。

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先日こんな記事を書きました。タイトル通り、初めて本を売った話です。本を売って手に入ったお金なのだから、本に使おう。ということで後日、本を売ったお店へ出掛けていき自分の本が並んでいるのを見つけたりしたわけなのですが、そこでこの本を見つけました。この作品は今思えば、僕が入間さんの作品を好きになるきっかけとなった一冊だったのですが、実家を出る時に他の本と一緒に処分してしまい「そうだ、もう一度読もう。」と思った時に処分していたことに気付いた本なのです。

奇遇。というほどではないのですが、これも縁かなと思ってもう一度読んでいる次第です。今年の僕は再読してばっかりですね。

物語は地方の街を舞台としていて、そこに住む人達の事情が掲示板に書かれた「カツ丼は作れますか?」という問いかけをきっかけに語られていきます。何でもないように生きている日常でも、みんなが無意識に誰かと関わりあっていて、ハッキリとは見えないけど、お隣さんとも駅前のコンビニのオニーサンとも、実はちゃんと肩を寄せ合って暮らしているんだなー。なんて事を感じる作品です。

入間さんは何というか比較的どこにでもありそうな物語を不思議な切り口からとても魅力的に描く作家さんです。この作品にしたって、特別何か大きなことが起こっているわけではない。あくまで日常は日常で、相変わらず代わり映えしない。なのに、読み終えてみればどこか壮大で。僕らの毎日だって僕らが気付かないだけで、ちゃんと奇跡で溢れているし、ちゃんと劇的なんだ。とか思ってしまう。そんな作品が印象的です。いや、僕がまだそういう作品しか読んでないだけなんですけどね(--;) 良い機会なので、他の作品も読んでみたいなと思います。有名な作品でいえば「電波女と青春男」「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」とかでしょうか。懐かしいですね。

読んできた作品ではどれも話のところどころで、少し哲学的な発想が出てくるんですけど、そこで抽象的な言葉は使わずに日常で用いる言葉だけで説明してしまうのが素晴らしいです。ありふれた言葉で語られる捻りのない哲学には不思議なリアリティがあって、そういうところが作品の魅力を担っている仕掛けなのかなと思ったり。

良かったら、手に取ってみてください。他の作品も読んだら紹介しようと思います。