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やぎ座のヒトリゴト

僕の思ったことを書いていきます。雑記ブログです。

「よるのばけもの」を読んだ感想

「よるのばけもの」

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概要

著者:住野よる 発行:2016年12月11日

やっとこさ読了しました。いつかの記事でピックアップしていた読みたい本の内の1つです。実写とアニメ、両方で映画化されました「君の膵臓を食べたい」の作者さんが書く物語です。

突如、夜になると化物になってしまうようになった男子中学生の「あっちー」は便利な身体で夜の時間をやり過ごしていました。ある夜、忘れた宿題を取りに学校へ行くと、そこで鉢合わせたクラスのいじめられっこ「矢野さん」に化物の自分を暴かれてしまいます。どういう理由か警備員さんに見逃してもらって夜の学校に来ている矢野さん、「今は夜休みだ」と言う。あっちーと矢野さんの不思議な夜休みが始まります。

感想

住野よるさんの作品を初めて読みました。なかなか考えさせられるというか、問いを投げかけられるような印象を持ちました。他の作品でもそうなんでしょうか?

あっちーくんはクラスに上手に溶け込むことを最優先に考えていて、クラスで起きているイジメにも傍観を決め込んでいます。しかし、イジメの被害者である矢野さんと2人で過ごす夜休みでは、普段自分が流されている「クラスの雰囲気」はありません。偏見無く矢野さんと付き合う化物の僕と、みんなと一緒に消極的に矢野さんをいじめる人間の僕、2人の僕が昼と夜とで食い違っていきます。

昼と夜、化物と人間、という対比がキレイだなぁと後になって思いました。タイトルや表紙からは非日常系な印象を受けたりしますが、話の主題はどこまでも現実的でした。表面的にしか見えないクラスメートの正体や、自分の内にある自分も知らなかった感情。化物の姿になることであっちーくんはいろんな事実に気付いていくのですが、なかなか中学生にはヘビィだよなぁと思います。それが逆に生々しいくらいにリアルだとも思うんですけどね。「化物」という要素が非現実的に見せるのですが、それさえ除けばどこの誰にでも当てはまるような、当たり前に抱えた矛盾を正そうと問いかけてくるような、そんな苦味のある作品でした。

 

(最終更新:2018/10/24)