「A2Z」を再読しました
超久々の読書記事ですね。
再読、というほどでもないかもしれませんが、久々にじっくり活字に向き合ったので記事にしようと思います。
「A2Z」
概要
著者:山田詠美。刊行:2000年1月。いつかの読みたい本リストでも紹介していた作品ですね。僕の好きな作品のひとつです。夫の浮気をキッカケに自身にも恋人ができて、浮気生活の中で夫婦という関係性を描き出した話です。浮気生活なんて書くとずいぶん下世話なイメージですね。山田詠美さんは恋愛小説で有名な作家さんです。けれども、どちらかというと純愛ではなく、浮気とか一夜限りとか、世間的には良い目で見られないような関係性が題材なことが多いですね。ハタから見たら不道徳とか不誠実。そういった関係の中にひらめく物凄く純粋な想いや素直な欲望をあっけらかんと書き出す。そんな作家さんです。
感想
すげぇなぁー。とか、ひと言で片付けてしまうとこのブログの意味自体無くなってしまうのですが。別の男の人と寝るのが、仕事帰りに通り雨に降られてしまったくらいの調子で語られるのが相変わらずスゴイですね。事実はあくまで事実として、それ以上でもそれ以下でもない。先入観無く、事の中に宿る気持ちや感情に向き合っているのが痛快にすら感じます。僕もこういう過不足なく抽象的な文章を書いてみたいもんです。
「恋愛小説が読みたい」と思って手に取ったこの本ですが、ジャンルの中では特殊な部類なんだろうなぁと思います。男女の片方が死んでしまうようなことも無ければ、心の距離に悩まされることも無い。でもベタな内容よりこういう歪な角度から関係を解き明かすような話の方が面白いですよね。
(最終更新:2018/06/12)